大学時代の知人に誘われ始めた「投資」で、150万円を詐欺グループにだまし取られたことが自死の原因だった
「暗号資産の運用」を謳う投資の実体は、「ポンジ・スキーム」つまり詐欺…
しかも今回のケースにはいわゆる「マルチ商法」的な側面もあり複雑な構造が隠れていた
大切な家族を失い、深く傷つきながらも顔と名前を出して取材に応じるご遺族の気持ちを私たちは考える必要がある
今回の記事では、若い人が「ポンジ・スキーム」「マルチ商法(マルチレベル・マーケティング/連鎖販売取引)」や「ネズミ講(ピラミッド・スキーム/無限連鎖講)」に巻き込まれてしまった事例を検討し、私たち大学生にできることを考えていきたい
「ポンジ・スキーム」:「『出資を募り、運用益を配当金として支払う』と言って資金を集め、実際の運用はなく、新しい出資者からの出資金を配当として支払いながら、破堤をすることを前提にお金をだまし取る手法です。」(*1)と一般社団法人金融リテラシー協会のHPには載っている。投資詐欺のほとんどがこれ。
(*1)
https://fliteracy.jp/column-10.htm
「マルチ商法(マルチレベル・マーケティング/連鎖販売取引)」:「商品を購入し、自分もまた商品の買い手を探し、買い手が増えるごとにマ—ジンが入り、自分の系列に加入者を増やしていくと大きな利益が得られるというもの。販売業者の成功話と違って売れない商品を抱え込む等問題が多い。」(*2)と全国大学生協連のHPには載っている。トラブルの温床ではあるものの、実はマルチ商法の取引自体は合法。
「ねずみ講(ピラミッド・スキーム/無限連鎖講)」:「先に組織に加入した者が、後に組織に加入した者から金銭等を受け取るという配当組織。「無限連鎖講の防止に関する法律」によって、金銭に限らず有価証券等も禁止された。」(*2)と全国大学生協連のHPには載っている。マルチとは異なり法律で全面的に禁止されている。
(*2)
https://www.univcoop.or.jp/fresh/life/multilevel/multilevel13.html
【学生、若者が被害にあった例】
・大阪府の学校職員だった当時22歳の女性が、大学時代の知人に誘われて「暗号資産の運用」に150万円を出資。このお金は知人を介して知り合った男からの指示を受け、消費者金融3社から借りたものだった。しかし、この投資話は「ポンジスキーム」と呼ばれる手口の詐欺で、女性のもとに150万は戻らず、彼女はその後自死した。
補足:被害者は「この投資話を他の人にも持ち掛け、勧誘が成功した場合さらなる利益を得られる」などという説明を詐欺グループから受けており、この件にはマルチ商法的側面もあると考えられる
(*4 )本記事上部添付動画参照
➡学生時代の知人など、身近な人に騙されるケースは少なくない。お金が絡む話にはたとえ親しい人間が相手であっても注意が必要。
・関東地方の大学生だった当時20歳の男性が入会費10数万、月会費1~2万のマルチ企業に入会、その4か月後に「もう連絡は取らない、学費も払わなくていい」と家族へ書き残し失踪。10か月後に帰ってきたときには、滞納した家賃と消費者金融での借金、合計約60万円のマイナスを抱えていた。しかし、マルチ企業の幹部や先輩に心酔する彼は母の説得を振り切りまた家を出た。
(*5)
https://www.asahi.com/articles/ASQBW44TNQBVUTNB013.html
➡被害者が、強烈な上下関係のもと洗脳のような状態に陥るパターンもある。専門家の協力も視野に入れながらの対応が求められる。
【被害にあわないために】
最後に、警視庁HP・生活経済対策「悪徳商法の被害にあわないために」(*6)から
「う そ つ き」
の標語を引用してまとめとする。
「う」:うまい話を信用しない
「そ」:相談する
「つ」:つられて返事をしない すぐに契約しない
「き」:きっぱり、はっきり断る
(*7)akusitusyouhounohigainiawanaitameni.pdf (npa.go.jp)
他人がわざわざ「必ず儲かる話」を自分にしてくる意味を、冷静に考える必要がある。
【補足:もし騙されてしまったら】
詐欺被害にあってしまったこと、金銭トラブルに巻き込まれてしまったことは、決して恥ずかしいことではないと筆者は考えている。
もし自分が被害に遭っていることに気づけた人は、すぐに最寄りの警察署、消費者生活センターまたは消費生活相談窓口に連絡してほしい。
警察相談ダイヤル:#9110