これからお酒と付き合い始めるみなさんへ
2017年に大学2年生の男性が急性アルコール中毒で死亡したニュース。
サークルの飲み会で酒を大量に一気飲みしたことが、直接の死因とのこと。
男性のご両親は近畿大学と飲み会に同席していた学生ら18名を訴え、今年3月に大学とは和解、「救護義務に違反した」とされる16名には大阪地裁からの賠償命令がくだった。(残りの2人への賠償請求は「飲み会への関与が薄かった」という理由で棄却されたらしい。)
飲酒経験の浅い若者たちが、急性アルコール中毒の危険にさらされるケースは少なくない。
これからお酒と付き合い始める若い皆さんには、男性のご両親の「判断を誤らなければ救える命があることを皆さんに改めて知ってもらいたいです」というお言葉を重く受け止め、急性アルコール中毒についてよく理解してもらいたい。
【そもそも、急性アルコール中毒って?】
アルコール関連問題に詳しい樋口進氏の「エビデンスにもとづいた新・アルコールの害」(少年写真新聞社/2012)
https://www.schoolpress.co.jp/topics/item/s-1305.htm
によると、急性アルコール中毒とは
医学的には、飲酒をして単に酔った状態だが、一般的には命の危険を伴うまでに至った状態を指すそう。
主な症状として、
意識レベルの低下、激しい嘔吐、低体温、血圧低下、頻脈呼吸数減少、尿・便失禁などが挙げられる。
また、アルコールの血中濃度が上がって昏睡状態に陥る、嘔吐物をのどに詰まらせるなどして死亡することもあるという。
そして、飲酒経験が少ない人ほど、脳がアルコールに対して敏感になるためリスクが高いともいわれている。
【急性アルコール中毒を防ぐには】
ここからは政府広報オンラインの記事を参考にする。
https://www.gov-online.go.jp/useful/article/201804/2.html#section2
・自分の適量、その日の体調を把握して飲酒する
特に風邪薬などを飲んでいる人はアルコールを控えたほうがいい
・一気飲みは厳禁
非常に危険な行為、お酒に強い人だとしてもだめ
・飲酒を強要しない、させない
(お酒を飲めない人はそのことを事前に周囲へ伝える)
飲酒の強要はハラスメントであり暴力、過去にはお酒に弱い人が飲酒を強要され急性アルコール中毒になった事例もある
・飲酒は食事と合わせて
食事をとりながらお酒を飲むと、アルコールの吸収が抑えられる
・強いお酒は水などで割る
アルコール度数の高いお酒を飲むときは、水で割る、水と交互に飲むなどして胃への刺激を抑えよう。
【飲み会で様子のおかしい人がいたら】
・意識がない、呼びかけ揺すりに反応しない
・全身が冷え切っている
・大量に嘔吐している
・呼吸の様子がおかしい
・口から泡をふいて倒れている
これらの様子には急性アルコール中毒の疑いがあるため、見かけたら躊躇せずにすぐ119番通報で救急車を呼ぼう。
【酔いつぶれた人を介抱するときは】
・数分おきに呼吸や脈を確認する
・回復体位を取らせる
・ひざ掛けなどをかけて体を温める
・意識がある場合は水を飲ませる
【余談:酒と判断能力】
NHKで、酒の席での危険に関する記事が出ていたので参考にどうぞ
https://www.nhk.or.jp/gendai/articles/4302/#p4302_02
酒に酔うと判断能力は低下する。酒に酔った隙に金銭を奪われる、怪しげな契約書にサインさせられる、性暴力を振るわれるなどの被害を受ける可能性があるため、信頼関係のない相手との酒の席には注意が必要。
また、酒に睡眠薬を盛られるパターンもあるようなので、
・飲み物を飲み切ってから席を立つ
・席を離れ、戻ってきた後は飲み物を取り換える
・他人が渡してきた酔い止めなどの薬には手を付けない
ことは徹底しておきたい。
ちなみに近年、水や食べ物に混入すると青色になる睡眠薬が増えてきたらしい。
他人から渡された、やたら青いお酒は避けたほうがいいかもしれない。