大学生の生活安全研究会

e-mail:seian753@gmail.com 画像や記事の利用ご自由にどうぞ

ハラスメントをさせない、しないために(やさしい日本語版記事あり)


「所属研究室の教授が、最近セクハラめいたことをしてきて怖い…。」

「アルバイト先の先輩スタッフが、いつもすごくパワハラ的で、出勤が憂鬱…。」

「サークルの後輩に礼儀や仕事を叩き込むため、割と厳しく接している。」

「ボランティア先で一緒に活動する同級生が、どうやら性的マイノリティのようなので他のメンバーに内緒話として共有した。」

人間関係にはどうしても避けられない摩擦、衝突、不和というものがあるが、時にそれらは一方による理不尽な加害によって引き起こされる。

私たちが我慢している所属先でのストレスは、もしかするとハラスメント被害かもしれない。

あるいは、私たちの所属先での振る舞いはもしかするとハラスメントかもしれない。

 

今回は、広島県でLGBTQとその支援者のためのセーフティスペースを運営する奥田圭さんにもお話いただいた。

よろしければ最後までお付き合い願いたい。

 

 

【そもそもハラスメントとは】

ハラスメント(harassment)を日本語に訳すと「嫌がらせ」になる。

近年、ハラスメントの内容は多様化しているが、今回はその中でも代表的な2つを紹介する。

 

パワーハラスメントパワハラ

厚労省の「あかるい職場応援団」*1によると、パワハラとは職場において行われる

優越的な関係を背景とした言動であって、

②業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより、

③労働者の就業環境が害されるものであり、

①から③までの3つの要素を全て満たすものをいいます。
なお、客観的にみて、業務上必要かつ相当な範囲で行われる適正な業務指示や指導については、職場におけるパワーハラスメントには該当しません。

とある。

学生読者の皆さんは、この説明文にある「職場」を「研究室・ゼミ」「アルバイト先」「サークル・部活」などに読み替えるといいかもしれない。

 

ちなみに、パワハラには6つの類型がある。*2

①身体的な攻撃(暴力はもちろん、ものを投げつけるのもパワハラ。)

②精神的な攻撃(暴言はもちろん、公開叱責も場合によってはパワハラ。)

③人間関係からの切り離し(いわゆる「村八分」「ハブり」。)

④過大な要求(明らかにキャパオーバーな仕事を押し付けるなど。)

⑤過小な要求(雑務ばかりを押し付け仕事をやらせないなど。)

⑥個の侵害(プライベートに干渉しようとしたり、相手の同意を得ずに個人情報を暴露するなど。)

なお、これらは加害者と被害者の上下関係が前提とされているが、場合によっては同僚、同級生でもハラスメントが成立する可能性がある。

 

セクシュアルハラスメント(セクハラ)

厚労省の「あかるい職場応援団」*1によると、セクハラとは職場において行われる

労働者の意に反する性的な言動により、労働者が労働条件について不利益を受けたり、就業環境が害されることをいいます。

とある。

学生読者の皆さんは、この説明文にある「職場」を「研究室・ゼミ」「アルバイト先」「サークル・部活」などに、「労働者」を「学生」に読み替えるといいかもしれない。

ちなみに、セクハラには

対価型セクハラ

労働者の意に反する性的な言動に対して拒否や抵抗をしたことにより、その労働者が解雇、降格、減給される、労働契約の更新が拒否される、昇進・昇格の対象から除外される、客観的に見て不利益な配

置転換をされるなどの不利益を受けることをいいます。*2

環境型セクハラ

労働者の意に反する性的な言動により労働者の就業環境が不快なものとなり、労働者の能力発揮に重大な悪影響が生じるなど、その労働者が就業する上で見過ごせない程度の支障が生じることをいいます。*2

がある。

 

【ハラスメントに遭ってしまったら】

厚労省の「あかるい職場応援団」*3によると

1 どんなことをされたのか記録する
ハラスメントと思われる行為をされた場合は、いつどこで誰が何を何のために(5w1h)したのかを記録しましょう。後々の事実確認などで有効なので、メモや録音など最適な方法で記録を残すことをお勧めします。

2 周囲に相談する
ハラスメントは我慢していても解決しません。それどころかエスカレートする可能性があります。一人で悩まず、まず同僚や上司に相談しましょう。周りの協力を得ることで、ハラスメントを行う本人が自らの行為に気づく場合があります。

3 会社の窓口や人事担当者に相談する
上司に相談できない場合は、人事部や社内相談窓口に相談しましょう。会社等の組織は、相談者が不利益にならないよう、プライバシーの確保を配慮することを求められています。

4 外部の相談窓口に相談する
社内に相談窓口がない場合や、社内では解決できない場合は、外部の相談窓口に相談しましょう。全国の労働局・労働基準監督署にある総合労働相談コーナーは、無料で相談を受け付けており、電話でも相談できます。

とある。

主な相談窓口はこちら

みんなの人権110番(法務局・地方法務局・支局内常設相談所):0570-003-110 *4

法テラス(日本司法支援センター:)0570-078374 *5

 

【番外編:ハラスメントのない空間づくりのために】

LGBTQとその支援者たちが集うセーフティースペース、「Chosen Family Shobara」*6の運営者、奥田圭さんから「ハラスメントのない空間づくり」についてお話をいただいた。

(以下、CFS公式サイトのリンク)

https://chosen-family-shobaracfs.webnode.jp/%e3%82%b3%e3%83%b3%e3%82%bb%e3%83%97%e3%83%88/

 

Q:ハラスメントを生ませない空間づくりのために、1番必要なことは何だとお考えですか。CFSで実践されていることもございましたら併せてお教えください。

 

A:ハラスメントを生ませない空間作り。難しいですね。

私が1番必要だと考えているは、きちんとした文章による周知です。
CFSの運営を例にお答えします。

CFSではご来場の方に「ご利用ガイド」を最初にお渡しします。
CFSは非常にセンシティブな問題(本来はそうではないが、今の社会ではそうならざるを得ない)を扱います。
そこで最低限守って頂くためのガイドをお配りして、皆さんにお読み頂きます。
そういう約束が無いと、例えばマウントを取ろうとする人がいたり、相手を言い負かそうとする人が出る可能性があります。
また中にはアセクシャルやアロマンティックの方もいらっしゃる場合も想定されていますし、複雑な背景を持つ人も少なくありません。
それを事前に、そして相互に理解しておいて頂く事が必要だからです。
そして最終的には、主催者である私の判断が何よりも重要です。
正直、私がストップをかけられるかどうかにかかっている場面が、これまでも数回ありました。
これらはCFSでの実践です。普遍性を持ち得ているかは分かりません。

しかし、1番必要な事は、実はその場を主催する人の考え方と実行力と、その人自身のアップデート、そして支援者/理解者(ご来場の方たちの場合もある)との協力ではないかと思います。

 

記事のやさしい日本語版はこちら




*1:ハラスメントの定義|ハラスメント基本情報|あかるい職場応援団 -職場のハラスメント(パワハラ、セクハラ、マタハラ)の予防・解決に向けたポータルサイト- (mhlw.go.jp)

*2:ハラスメントの類型と種類|ハラスメント基本情報|あかるい職場応援団 -職場のハラスメント(パワハラ、セクハラ、マタハラ)の予防・解決に向けたポータルサイト- (mhlw.go.jp)

*3:ハラスメントにあったらどうする?|ハラスメントで悩んでいる方|あかるい職場応援団 -職場のハラスメント(パワハラ、セクハラ、マタハラ)の予防・解決に向けたポータルサイト- (mhlw.go.jp)

*4:法務省:常設相談所(法務局・地方法務局・支局内) (moj.go.jp)

*5:法テラス・サポートダイヤル|法テラス (houterasu.or.jp)

*6:【Chosen Family Shobara(CFS)】 (webnode.jp)